新型LiDARモジュール「DJI ZENMUSE L2」をご紹介します。ドローン用LiDARの前モデル Zenmuse L1 との違いや、実際に屋外で検証したデータをご覧いただき、新型の効率性をぜひご確認ください。
Zenmuse L2 と前モデルとの比較
DJI Zenmuse L2 | DJI Zenmuse L1 | |
レーザーパルス | 240kHz | 240kHz ※トリプルのみ160kHz |
リターン | 最大5リターン | 最大3リターン |
FOV | 繰返し:70° x3° 繰返しなし :70°x75° | 繰返し:70.4°x4.5° 繰返しなし:70.4° x77.2° |
ビーム発散角 | 1.2mrad x 0.4mrad | 4.8mrad x 0.5mrad |
検知範囲 | 250m (反射率10%、lOOklx) | 190m (反射率10%、lOOklx) |
保護等級 | IP54 | IP54 |
IMUウォーミングアップ | 不要 | 必要(3~5分程度) |
IMU精度 | Yawリアルタイム:0.2゜、後処理:0.05° Pitch/Roll リアルタイム:0.05゜ 、後処理:0.025° | Yawリアルタイム:0.3゜、後処理:0.15° Pitch/Rollリアルタイム:0.05゜ 、後処理:0.025° |
可視光カメラ | 4/3インチ20MPメカニカルシャッター搭載 | 1インチ20MPメカニカルシャッター搭載 |
対応機種 | Matrice300RTK (RC PLUSのみ) 、 Matrice350RTK | Matrice300RTK、 Matrice350RTK |
リターン/レーザーパルスについて
Zenmuse L1 では、3リターンの設定時にサンプリングレートが160kHzに制限されていましたが、Zenmuse L2 であれば5リターン時でも240kHzでの照射が可能となり、より多くのレーザー照射が可能となりました。
ビーム発散角について
mradとは、カメラが対象物から1m離れている時に、対象物に照射されるレーザーの大きさがどの大きさになるかを表しています。
L2の場合は、1.2mrad x 0.4mradとなりますので、仮に100mの高度で飛行させている際に、地上に照射されるレーザーの大きさは、12cm×4㎝になります。L1の場合は100mで飛行時は48cm x 50cmとなりますので、L2は非常にレーザーの大きさが小さくなったことがわかります。
レーザー測量では、植生をすり抜けながら、地表にレーザーを照射してデータを取得しますが、レーザーの大きさが小さい方がすり抜けやすいので、L2の方がデータ取得がしやすくなっていることがわかります。
IMUウォーミングアップについて
Zenmuse L1では、LiDARの安定した出力を確保するために、電源を入れた際には3〜5分のウォーミングアップ時間が必要でした。現場で機体トラブルなどによる再起動が必要な場合、都度ウォーミングアップを待たなければならず、効率に影響が出ることがありました。しかし、Zenmuse L2ではウォーミングアップが不要ですので、設置から飛行までスムーズに業務を行うことができます。
検証データ比較
今回は弊社のドローンフィールドのデルフリキャンプドローンフィールドにて Zenmuse L1 と L2 での比較検証を行ってきました。検証条件は以下のとおりです。
- 使用機体:Matrice 300 RTK + Zenmuse L2、Matrice300RTK + Zenmuse L1
- D-RTK2を既知点に設置
- 対空標識は 600mm✕600mm 2セット設置
- 対空標識の座標はRTKローバーにて測定
- 天候:曇り、弱風、気温15℃前後
- DJI Terra の構築設定
- 点群精度最適化ON/点群平滑化OFF
- グラウンドポイントタイプ:緩斜面デフォルト
飛行場所と飛行ルート
飛行場所:デルフリキャンプ ドローンフィールド 滋賀県長浜市小谷上山田町
↑飛行ルート
現場状況としては、グラウンドデータの取得状況が分かるように、森林を含めた飛行ができるような場所を選定しました。
L1とL2の比較
L1とL2の高度による違いを検証しました。検証ポイントは上図の赤〇印となります。
※各断面図のスライス幅は50㎝に設定しています。
〇L1、繰り返しなし、高度100m
〇L1、繰り返しなし、高度50m
〇L2、繰り返しなし、高度100m
〇L2、繰り返しなし、高度50m
L1で高度50mで飛行した場合と、L2で高度100mで飛行させた場合のグラウンドデータ取得状況がほぼ変わらないことが分かります。L2のビーム径が小さくなったことやリターン数の向上によって、このような結果になったと考えられます。
高度を下げることが難しい現場であっても、L2であれば、比較的多くのグラウンドデータの取得が可能となるため、より活用の場が広がったと考えられます。
L2を使用した感想
L2を使用してみて、印象的だったことは、さらなる効率化が図られていることだと感じました。IMUウォームアップが不要、高度を高くして広範囲のデータ取得を行っても問題ないことなど、L1からの大きな進化を感じました。
弊社は、DJI CAMP ENTERPRISE ZenmuseL2インストラクターが在籍しており、L2のご購入および導入時講習を実施することができます。これから、レーザー測量をお考えの方や、L1からのグレードアップを検討されている方等、お気軽にご相談ください。