ドローンはGNSSを使用して安定した飛行を実現しています。
ドローン測量では写真データに組み込まれたGNSSの情報をもとに、空中三角測量を行うことができます。
GNSSのみの単独測位では、実際の機体の位置の誤差が数メートルずれている1といわれています。
写真測量では、数百枚の写真をもとに測量を行いますが、それぞれの写真の位置情報の誤差が大きい場合、最終的に出来上がる三次元点群データなどの成果物も全体的に誤差が生じてしまいます。
GNSSドローン写真測量には、標定点が必須
ドローン測量でデータの精度を上げるためには、「標定点」が必要になります。
そもそも標定点・検証点や精度検証とは何なのか、、、簡単にまとめると、以下のようになります。
- 標定点:出力データを調整するための点
- 検証点:出力データの精度を検証するための点
上記を事前にTS(トータルステーション)やGNSSローバーで測定しておき、その点に「対空標識」を設置します。
写真それぞれに、対空標識(標定点)が映るように撮影し、各写真の対空標識が実際の座標点のどこに位置しているのかを覚え込ませた上で、処理することで、データの精度を上げることができます。
検証内容
今回は、DJI Phantom4Pro V2.0を使って、GNSS測量を行い、標定点の設置の有無によって、どれくらいの精度差となるのかを検証しました。
また、Matrice350RTK+P1でのRTK測量との比較も行いました。
RTK測量の精度についても詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は以下よりぜひご参照ください。
飛行計画
GNSS測量機(Phantom4Pro V2.0)
- 速度:2m/s
- 地上画素寸法:1cm/px
- オーバーラップ率:90%
- サイドラップ率:60%
- SfMソフト:DJI TERRA
RTK測量機(Matrice350RTK+ZenmuseP1)
- 速度:5.4m/s
- 地上画素寸法:1cm/px
- オーバーラップ率:90%
- サイドラップ率:60%
- SfMソフト:DJI TERRA
精度検証結果【GNSS測量 標定点あり】
画面上の青色ピンが標定点、緑色ピンが検証点の位置を示しています。標定点については、公共測量の作業規程の準則に則って設置をしています。
この状態での精度検証結果が以下となります。
Xが1.7cm、Yが4cm、Zが6.3cmの誤差となりました。
また、TERRA上の計測機能を使って、面積の計算を行った結果、以下となりました。
XとYの誤差が数cmとなっていますので、上記もほぼ実測値となると考えられます。
精度検証結果【GNSS測量 標定点なし】
続いて、標定点を設置しない場合の精度検証となります。
画面上の緑色ピンが検証点の位置を示しています。
この状態での精度検証結果が以下となります。
Xが2m、Yが2.7m、Zが12mの誤差となりました。やはり、GNSS測量はメートル単位の誤差あるといわれていますが、納得の結果となりました。
また、TERRA上の計測機能を使って、面積の計算を行った結果、以下となりました。
上記の面積が実測値として提示するのは難しいと考えられます。
標定点あり、なしの比較
TERRAで面積を計測した数値を比較してみます。
約15㎡の差がありますので、やはり標定点なしでの測量は成果物としては使用できないと考えられます。
精度検証結果【D-RTK 標定点なし】
RTKを使った測量の場合の検証も行ってみました。
画面上の緑色ピンが検証点の位置を示しています。
この状態での精度検証結果が以下となります。
Xが3.5cm弱、Yが1.6cm、Zが3.2cmの誤差となりました。
RTKで標定点(対空標識)を設置しなくても非常に高い精度を出すことができました。
RTK測量についても詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は以下よりぜひご参照ください。
また、TERRA上の計測機能を使って、面積の計算を行った結果、以下となりました。
計測した枠の形がGNSS測量の方と完全に一致しているわけではないですが、GNSS測量の標定点ありの面積とほぼ同じ面積となりました。
まとめ
いかがでしたか?
GNSS測量の場合は標定点を設置することで、精度数センチを担保することができますが、RTK測量の場合は標定点を設置せずとも数センチの精度を出すことができます。
RTKが使用できる機体は最近は増えており、数年前に比べてドローン測量が非常に進化していると感じています。
弊社では、毎月、産業機の実演会を実施していますので、産業機にご興味のある方はぜひご参加いただければと思います。また、導入後も今回のような測量の手法についての講習などもご用意しておりますので、安心してドローンの導入をしていただくことができます。