【検証】DJI D-RTK3の販売を開始し、固定局および移動局(ローバー)の検証を行いました

DJIの新製品である、「D-RTK3」を当社でも導入しましたので、各種検証を行いました。

今回の検証内容は以下となります。

 

  1. 固定局としての使用方法
  2. 移動局(ローバー)としての使用方法

多機能ステーションのという名の通り、以前のD-RTK2の固定局の機能に加え、移動局(ローバー)としての機能を併せ持つ素晴らしい機器となります。

 

ケースは、Matrice350RTKの各種ペイロードと同じ形状のものが使用されています。

 

固定局としての使用方法

固定局として使用するために、純正の三脚またはお手持ちの三脚を使用します。

ねじ穴径は「5/8インチ」となっておりますので、ほとんどの測量機器の三脚が使用できます。

 

今回は当社の所持している汎用のエレベータ三脚を使用しました。

 

固定局の設定は最新機種の「Matrice4E」で行いました。

ちなみに、固定局として使用できる機体は以下となります。

 

  • DJI Matrice 4シリーズ
  • DJI Matrice 3D /3TD Matrice 300/350 RTK
  • Matrice 30シリーズ
  • DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズ
  • T60
  • T50、T25
  • T40、T20P
  • DJI FlyCart 30
  • DJI Inspire 3

過去の機体でも使用できるところはうれしい点です。

 

固定局の詳しい設定

送信機のRTK設定画面のRTKサービスタイプを「D-RTK基地局」に設定します。

 

ステータスをタップして、D-RTK3を選択します。

 

今回実装された、D-RTK3の目玉機能である、「D-RTK座標のキャリブレーション」が現れます。
D-RTK3を固定局として使用する際には、実際に設置した場所の緯度、経度、高度の絶対座標を入力する必要があります。
これはD-RTK2の時も同じでしたが、D-RTK2の場合は事前に計っておいた数値を手動で入力する必要がありましたが、D-RTK3の場合はPPPまたはネットワークRTKを使って、自動的に座標を取得し数値の入力ができるようになりました。

以下、設定画面となります。

 

1.D-RTK3を設置した場所を手動で入力するパターン

 

2.PPPを使用して自動入力するパターン

※PPPの場合は、精度が最大で20cmほどとなりますので、ご注意ください。
※20cmの精度で座標取得までに30分以上時間がかかりました。

 

3.ネットワークRTKを使用して自動入力するパターン

 ※座標取得はすぐに完了します

 

これまでD-RTK2では、手動での既知点の数値入力が必要であり、入力ミスによるエラーが発生することもありました。
今回のアップデートで非常にスムーズに飛行に取り掛かることができそうです。

 

移動局(ローバー)としての使用方法

今回のD-RTK3の目玉機能である、移動局の使用についてです。

 

ネットワークRTKを使用することで、GNSSローバーとして座標点を取得していくことができます。
これまでは、別途GNSSローバーを購入して運用していく必要がありましたが、D-RTK3にこの機能が実装されたため、導入時の費用面の削減にもつながりそうです。
使用するポールは5/8インチのねじ穴径であれば問題ないので、今回は当社の所持しているものを使用しました。

 

使用するアプリは、新たに登場した「DJI Enterpriseアプリ」となり、Android端末にインストールを行います。
 
ダウンロードとインストールはこちらから。
今回は、ver1.0.0を使用しています。

 

移動局の詳しい設定

最初にするべきことは、D-RTK3のモード切替となります。

D-RTK3の電源ボタンを「3回」押すことで、モード切替ができ、Mのマークが黄色になれば、移動局として使用できるようになります。

この作業を行わなければ、DJI Enterpriseアプリとリンクできませんので、ご注意ください。

 

固定局の際はMが「緑」

移動局の際はMが「黄」

 

次に、DJI Enterpriseアプリを起動して、Connect Deviceから接続を行います。

 

 

RTK3をタップすると、ネットワークRTKの設定画面に入りますので、項目を入力して、メイン画面に入ります。

 

 

エポック数も10エポックに変更できます。

 

 

左下のIMUのアイコンをタップして、IMUを有効化することで、手持ちのポールでの計測も可能になります。

 

 

ポールの高さを事前に入力しておくことで、ポール分の長さをオフセットした状態で地面の座標の取得ができます。

 

 

Add Pointをタップすることで、ポールの先端の座標値が記録されます。

 

 

座標の出力はCSVで可能です。今回は、WGS84、楕円体高での出力を行いました。
CSVはAndroid端末内に保存されます。

 

 

 

番外編

レーザー測量用の対空標識にD-RTK3を設置して、座標点の取得を試みました。

対空標識から10cmの高さのポールを装着し、その上にD-RTK3を設置しました。

 

ポールの高さを入力しようとしましたが、0.1mでの入力がエラーのためできず、1m以上であれば入力ができました。

 

現状は、出力後の座標データからZ値を手動でオフセットしていくか、レーザー測量の対空標識に1m以上のポール接続して使用する必要がありそうです。

<2025/2/6更新>

アプリの最新アップデートで入力が可能となりました。

価格

DJI D-RTK3マルチステーション三脚セット
→253,000円(税抜)

フラグシップ級のアップデートで、RTKモジュールも標準搭載で、驚きの価格ではないでしょうか。

セット内容の詳細やご相談等はお気軽にお問い合わせください。

お見積もり依頼、デモ飛行依頼、ご相談はこちら

まとめ

いかがでしたか。
D-RTK2から格段に機能がアップしたD-RTK3は現場での作業が非常に効率化できそうです。
次回は機体を使って写真やレーザー測量の精度検証も行っていきたいと思います。