一居インストラクターから「無人航空機一等技能証明(一等ライセンス)」について

ドローンの国家ライセンスについて、まだまだ機体認証の対応の遅れなどもありますが、当社でも初めての一等ライセンス講習と修了試験を終えました。

一等ライセンスは有人地帯の上をドローンを飛ばせる資格となりますが、経験者講習(民間資格や二等ライセンスを持っている方)でも4日間の講習になります。

講習を終えて、指導をした一居インストラクターに一等ライセンス講習について聞いてみました。

講習機関選びの参考にもなると思いますので、こちらでも共有させていただきます。

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まずはじめに、二等の座学内容に、カテゴリーIII飛行における重要なポイントが追加されています。
カテゴリーIII飛行は第三者上空で行われるため、非常に高いリスクが伴います。そのため、リスクを最小限に抑えるための考慮事項について述べられています。
具体的なアプローチ方法は、「リスク評価」という概念で説明されています。ただし、現場の環境によって異なるため、全てのシナリオに対応できる決まり切ったリスク評価の方法は存在しませんし、教則書にも明記されていません。
そのため、パイロットは柔軟に臨機応変にリスク評価を行う必要があります。

飛行経験がまだ少ない場合、十分なリスク評価を行うことは難しいかもしれません。
実際の飛行現場での経験が重要となるため、講習中には現場経験の豊富なインストラクターからの意見を積極的に聞くことが重要です。そうすることで、内容をより深く理解し、適切な判断を行うことができるでしょう。

続いて、実地試験についてです。
実地試験では、GNSSをOFFにしてATTIモードで屋外で行う必要がありますので、飛行練習も屋外で行うことが重要です。

ATTIモードでは、風の影響を直接受けるため、スティック操作を一時でも止めると、機体が思いもよらぬ方向に流れていってしまいます。
普段、屋外で飛行経験がある方でも、通常はGNSSをONにして飛行させていることが一般的ですので、講習では最初に風に対応しながらのATTIモードでのホバリングを行います。
機体を正面に向けて操作する場合は、自分の進みたい方向にスティックを動かすだけで良いので、直感的に操作ができ、スティックの反応も速くなります。したがって、ホバリングが容易にできると思われるかもしれませんが、風は一定の速度や方向を持っているわけではなく、常に変化していくため、ホバリングをマスターするのは非常に難しいのです。

実地試験では、8の字飛行を行う必要がありますので、機体を正面以外の様々な方向に向けて飛行させることになります。
そのため、正面でのホバリングができたとしても、機体を対面や左右に向けた状態でのホバリングが次に待っています。
機体の方向が変わると、スティック操作もそれに合わせて変える必要がありますが、それを直感的に行えなければ、風に対応することはできません。

屋外での飛行では、風を上手に利用しながら飛行させることが重要です。風に乗って進んだり、逆風に対して舵を切ってブレーキをかけてスピードを落としたりするなど、風を読んで操作する必要があります。

ドローンは楽器に似ています。インストラクターが指導できることとできないことがあります。例えば、ピアノを弾く場合、音名や鍵盤の位置は教えることができますし、覚え方のコツを教えることもできます。
しかし、実際にそれを覚えるのは生徒自身で何度も繰り返し練習することで自然に身につけることができます。ドローンでも同じです。機体の方向を変えた時のスティック操作やそのテクニックを教えることはできますが、それを実際に覚えるのは生徒自身の努力にかかっています。

一等の講習では、インストラクターからの的確なアドバイスに加えて、生徒自身が決してあきらめずに技術向上に努めることが重要です。何度も失敗してもめげずに取り組む姿勢が、最終的に試験に合格するための鍵となります。インストラクターと生徒の努力が相まって、技術の向上と試験合格への道が開かれていくと信じています。
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